こんばんは。2度目のコーセーです。
早速本題。
「串から抜かないで」 焼き鳥店主が本気で怒るその理由について考える
焼き鳥を串から外すか、否か。たびたび議論になる飲み会の作法だ。
「みんなに行き渡るよう、外して取り分けたい」という気遣いによるものから、「串にかぶりついて食べるのは下品」という価値観まであるらしい。
そんな中、「串を抜くたびに値段が上がる」と警告する焼き鳥屋が東京・新橋にある。冗談かと思ったら、本気らしい。そこまでするのには、理由があった。
「串から抜かずに食べてください」
身のプリッとしたレバーが運ばれてくると、店員から念を押された。壁には、「串をぬくなら焼肉屋へ行け!」と書かれたポスターが張ってあった。その下には「抜くたび値段が上がります」という小さな注意書きまである。
焼き鳥店「出世酒場 大統領」は、客への注文が多い「うるさい店」として知られる。それでも、店を訪れた金曜の午後4時ごろにはほぼ満席。レバーをほおばると、口いっぱいにじんわりとうまみが広がった。
翌週、平日の朝に仕込み中の大将・沢崎誠さん(52)を訪ねた。なぜ、串から肉を外させないことにこだわるのか。沢崎さんは、笑いながら言った。
「一口目で心をつかむのが、うちの焼き鳥だからね。どの焼き鳥屋も刺し方が違って、二口目に大きい肉を刺す店もある。うちは、一口目でおいしいって思ってもらいたいから、最初が大きいの。体育会系の俺と同じ、逆三角形体形の焼き鳥だよ」
自慢の焼き鳥は、沢崎さんが午前5時から仕込みを始め、8時半になると他のスタッフも参加する。仕込みは、昼過ぎまでかかる。
沢崎さんと一緒に仕込みをしていた次男の嵐(あらし)さん(27)は、肉を切りながら、大きさごとに順番に並べていた。「串に刺す前の段取りが大事。串から抜かれたら、この作業の意味がなくなっちゃう」と語る。肉を並べ終わると、沢崎さんが手際よく串に刺していく。
「肉のカットが大事」と、沢崎さんは言う。
「あまり小さいとおいしくなくなる。目いっぱいに、一口でほおばれる大きさにしている」。肉の大きさ、串に刺す順番、焼き方。串にかぶりついた時に「おいしい」と思えるよう、計算しつくした一本が提供される。
「抜くたび値段が上がります」というルールは、「もちろん本気」と言う。「これだけ手間をかけて仕込みをしているのに、勝手に串から肉を抜く客がいるから怒っているんだよね。串から抜かない客、次も来てほしい客には、いい肉を出すよ。いい客には、いい肉を食べさせたいから」
沢崎さんは、和食の板前を経て、15年前に店をオープンした。「串外し禁止」のルールは、開業当初から。それから、「飲めない人はお断り」「おひとり様お断り」「食べ残し1本1000円」と徐々にルールが増えていった。
「おひとり様お断りっていっても、2、3人なら必ず入れるってわけじゃない。今はもう、店もいい客を選ぶ時代。郷に入っては郷に従えの遊びができない人は苦しい店。でも、それができる人には居心地のいい店だよ」と沢崎さん。
「食べ残し禁止も、せっかくいただく命なんだからっていう理由。そういうことも考えながら、あとは食べて飲んで、楽しんでいってほしい」と思いを語っていた。
マナーという観点ではどうか。
企業のマナー研修を行い、マナーに関する著書も多いマナーコンサルタントの西出ひろ子さんは「串に刺して焼いて、それを持って食べるというのが、焼き鳥のそもそものスタイルですから。そのまま食べればいいんですよ、ということがまず大前提です」と言う。
その上で、「マナーで大事なのは、相手の思いです。焼き鳥店では、職人がそれぞれの思いをこめて、肉を串に刺しています。一口目は味が薄めでだんだん濃くなっていくように塩を振ったり、タレをつけたりなど考えて焼いているとお店の方に聞いたこともあります。ですから、出てきたスタイルでいただくのが良いでしょう」と西出さんも料理人のこだわりを尊重したいと考える。
西出さんによると、「焼き鳥の串問題」「唐揚げにレモンをかけていいか」「サラダを取り分けるべきか」といった飲み会での作法について、メディアからの取材が増えたのは2006年ごろからだという。その後、SNS(ネット交流サービス)が普及するにつれ、議論が活発化。「それぞれが個人的に悩んでいたテーマが、SNSで広がっていったのではないか」と西出さんは分析する。
こうした飲み会でのマナーについて、西出さんが提案する解決策はただ一つ。
「聞けばいいんです」
焼き鳥を串から外すのも、唐揚げにレモンを搾るのも、サラダを取り分けるのも、気遣いのためにやることだろう。しかし、「自分が良かれと思ってやるのは、自分中心。マナーは、相手の立場に立って考えることが一番です。食べ物に関しては、育った家庭などによって食べ方、ルールが大きく異なります。さまざまな意見があることなので、相手に聞けばいいのです」
食べる前に、「人数分ないけど、どうしましょうか? 外しますか、それともそのままにしましょうか?」と一声かけることが大事だというのだ。
マナーには正解がなく、ともに過ごす人、お店の考え方によって変化していく。
「もし、その場にいる人たちが『人数分ないから、外してもいい』と合意すれば、その場は、それが正解です。何も言わないでイライラするくらいなら、コミュニケーションを取ったほうがいい。これは、ビジネスでも一緒ですね。上司、部下、お客様のことは、聞いてみないとわからない。聞かれたほうも、『それくらい、勝手にやれ』と言うのではなく、『聞いてくれて、ありがとう』と答えてください」と、西出さんは真心を持って相手に接することを説いていた。
「飲み会は、より一層、相手のことがわかる機会です。楽しい食事と飲み物で、盛り上がってください」と忘年会・新年会を楽しむ人々にエールを送る。とのこと。
焼き鳥の串問題は本当に賛否両論。これと言った正解がないの問題だ。作る側からすれば、手間暇かけて作ったものを、台無しにされることは許せないだろう。どうか串を外さずに食べる習慣が、馴染むことを願う。
そんなわけでまた明日(^-^)