「このすば」シリーズ、大人気のうちに完結へーーサトウ・カズマ、最弱なのに最高の主人公たりえた理由

こんばんは。7度目のコーセーです。今日はこれが最後の更新となります。

 

早速本題。

「このすば」シリーズ、大人気のうちに完結へーーサトウ・カズマ、最弱なのに最高の主人公たりえた理由について考える

異世界かるてっと》で最も弱くて最も外道な主人公を挙げるなら、暁なつめこの素晴らしい世界に祝福を!』シリーズのサトウ・カズマをおいて他にいない。異世界に転生する際に女神を地上に道連れにする。モンスターを退治に行けばパーティ仲間をおとりに使う。持っているスキルも窃盗や潜伏といった卑怯なものばかり。それなのに《異世界カルテット》きってのモテ男でもあるサトウ・カズマの真骨頂、そして『このすば』シリーズの面白さが、最終巻となる『この素晴らしい世界に祝福を!17 この冒険者たちに祝福を!』(スニーカー文庫)で、これでもかとばかりに発揮された。

丸山くがねオーバーロード』、カルロ・ゼン幼女戦記』、長月達平Re:ゼロから始める異世界生活』、そして暁なつめこの素晴らしい世界に祝福を!』という、KADOKAWAから刊行されて人気の異世界転移・転生ライトノベル4作品がクロスオーバーしたアニメが『異世界かるてっと』。その主人公は『オーバーロード』のアインズ・ウール・ゴウンも、『幼女戦記』のターニャ・フォン・デグレチャフも、圧倒的な魔法の力を振るって敵を蹂躙する。

 『Re:ゼロから始める異世界生活』のナツキ・スバルも、目つきこそ悪いが実直な性格で、好きになった少女たちを助けようとして、死んで時間を戻してやり直す“死に戻り“の能力を駆使し続ける。『このすば』のサトウ・カズマはどうか? 異世界転生のお約束であるトラックに轢かれるどころか、迫るトラクターに心臓麻痺を起こして死んでしまう。ああ情けない。

 そして、あの世で転生を担当する女神アクアに、与えると言われた万能の力を望まず、アクア自身を希望して地上へと引き連れ、生前の記憶や姿を保ったままアクセルという街に降り立つ。文字通りに女神をも恐れぬ所業だが、サトウ・カズマの主人公らしからぬ振る舞いはこれに止まらない。いちおうは冒険者となったカズマが、転生の目的とされた魔王討伐に成功したら、アクアは晴れてお役御免となって天界に帰れる。ところがカズマはそうした気概をまったく見せず、アクセルの街でアクアとともに凍てつく馬小屋に寝泊まりしながら、その日暮らしの毎日を送っている。

下劣で卑怯に見えて、最後にはしっかり活躍してみせるからこそサトウ・カズマは少女たちに好かれるし、《異世界かるてっと》にあってシリーズ累計900万部という最高の売り上げを誇る物語の主人公たりえる。その真骨頂が、シリーズ本編の最終巻『この素晴らしい世界に祝福を!17 この冒険者たちに祝福を』に現れた。いつまでも魔王討伐に向かわないカズマを見限ったか、アクアがひとりで魔王を退治すると書き置きを残し、パーティの拠点から家出してしまう。
 向かった先は魔王城。アクアを信奉する魔剣の周囲の人々が助けに行こうと言い出すのを横に置き、カズマは動こうとしなかったが、結局は立ち上がってめぐみんダクネスを連れ、魔王城を攻め城を守る幹部たちを蹴散らし、魔王との決戦に臨む。自ら決着をつける必用などなかったにも関わらず、信頼されると分かり、期待されているとも知って最終的には最前線へと躍り出る。最弱に近くても種類だけは多彩なスキルを駆使し、これだけは最強かもしれない、女神のひいきによる死からの復活という特典をなげうってでも戦い続けるその姿は感動もの。高い高揚感に浸れるクライマックスだ。
  1発打ったら終わりだったはずのめぐみんの爆裂魔法が、カズマの配慮によって無制限に放たれる場面は、映像になったらいったいどれだけの迫力か。めぐみんが大活躍した劇場アニメ『映画 この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説』に集まった「ナイス、爆裂!!」の賛辞が、何百倍にもなって全世界から寄せられるに違いない。第2期まで行ったテレビアニメのシリーズが作られ続け、映像でも完結に至ることを心から期待したくなる。
  物語自体も、本編こそこれで完結となりながら、魔王がカズマと同じように日本人に似た名前を持っていることや、王都を攻めたものの撃退されて魔王城に戻ったら、爆裂魔法で追い打ちをかけられえた魔王の娘のその後といった、気になるところも多々あって、『続・この素晴らしい世界に爆焔を!』のようなスピンオフでの展開が欲しくなる。カズマはめぐみんと結ばれるのか、それともアクアかダクネスか別の誰かに気を移すのかといった、恋路の“その後”も知りたくなる。
  とはいえ、作者が第1巻のあとがきに書いた、「どこにでもいる人間臭くも平凡な主人公が、過酷な異世界で理不尽な現実にあらがいながら、クセのあるヒロイン達を引き連れて頑張る物語」は終わりを迎えた。第17巻のあとがきにあるように、「ここまで頑張ってきたカズマには、しばらくの休息と平穏な暮らしを送らせて」あげたい。
  だから今はこの言葉を贈ろう。『この素晴らしい世界に祝福を!』完結に心からの祝福を!とのこと。

 

このすばシリーズが遂に完結を迎えてしまいました。よくここまで頑張ったものだと評価してあげたい。ヘタレな主人公カズマが最終的には、勇猛果敢に戦うようになるという成長ぶりには感動をおぼえる。まずは、なつめ先生本当にお疲れ様でした。

 

そんなわけでまた明日(^O^)

 

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